真相

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真相

 頭痛とともに目を開ける。俺は、古墓地にいたはずでは……。それにここは、焼け焦げた家? この村に火事だなんて聞いたことがない。こんな僻地の情報なんて入ってくるわけもないか、などと考えもした。だがそこに焼け焦げた木片だけなら良かった。木片の中に白い物体が転がっている。これは……?  深く確認しようとして、体が動かないことに気がつく。――――縛られている。 「骨ですよ、祐輔さん。私の両親です」  聞き覚えのある声に反応する。その声は間違いなく、琥珀の声だった。 「琥珀……お前、両親を殺したのか」  あえて疑問形にはしない。幾つかの確証があってここへ来たのだ。山見村大量殺人事件。フィクションとして描かれた時もあったが、それは間違いなく現実だった。 「はい。私の両親は生きる価値の無い人間でしたから。そして始まる七不思議ですよ」  いつしか人は消えていく。深い深い森の中。気づけばそこには人一人。私一人でどこ行くの。そういう詩を聞いた。七年前から始まった七不思議。それが解決する。はずだった。 「琥珀、お前、俺を殺すのか? 美弥子も、杏も、おふくろも」  それを聞くと目を伏せて、それでもそうだと答える。 「祐輔さん。あなたを殺せばみんな殺せる。ここには誰も介入できませんから」  そう言って手で弄んでいた包丁を握りこむ。そして、俺の首を狙って振り切ろうとしたその時だった。  闇が光で照らされ、一瞬の隙が生まれる。その瞬間に琥珀の体が吹き飛ばされる。 「美弥子、杏。どうしてここが……」 「そんなことより大丈夫? 今解放するから!」  そう言って解放される。頭痛はするものの動けないほどではない。そして起き上がった琥珀は包丁を探す。その包丁は杏の手にあった。 「あなた達まで、邪魔をするの……。私は復讐を遂げなきゃいけない。この村に、復讐を!」  鬼気とした表情で包丁を奪い取ろうとするが、二対一。結果は見えていた。そのまま組み伏せられてこの惨劇は幕を閉じた。
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