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後日談――――約束
「そういえばお前らはこれからどうするんだ?こんなところにいても未来はないぞ」
それについて考えさせる。二人もそれについては悩んでいたらしく、これを機に都会に出るかとも悩んでいた。そして。
「おふくろはどうするんだ? 何ならうちに来てもいい。こんなところで死ぬにはもったいないだろ」
そう言うと静かに首を横に振った。
「馬鹿言うんじゃないよ。あたしはあの子を見て見ぬふりしてたんだ。それにお父さんもいる。あたしはここで生まれ、死んでいく使命があるんだ」
それを聞いて、俺の決意は揺らいだ。
「そうか。そう言うなら何も言わないが。墓とかは移しちまって構わないか? 最後にはおふくろも入るんだ。こんなところじゃつまらないだろ」
「それについては勝手におし。その代わりこまめに帰ってくるんだよ。あたしの死に目に会いたかったらね」
わかったよ、と言って二人の元へ戻る。美弥子は仕事があるにせよ、杏は畑仕事だ。簡単にと買いに行くわけにはいかない。
「私はこの冬最後かな。春になったらどこか引っ越すよ。幸いお金はあるからさ」
そうか、と納得して自分の部屋に戻る。少ない荷物をまとめて、布団に入る。
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