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ミーンミンミンミーン……。
「暑い……。さすが沖縄」
太陽が照りつける灼熱の熱さ、それを照り返すアスファルトと戦いながら、俺はどこともわからない場所をただひたすら海岸沿いに歩いていた。
なぜか。そう、こうなったのは全て親父のせいだ。
「恨むぜ。まったく……」
つい最近まで東京で暮らしていた俺と親父。
だが、親父の急な転勤で、ここ、沖縄に来ていた。
それだけならまだいい。だが奴は、
「どうせなら、高校の下見にでも行ってきたらどうだ?確か、今日が終業式のはず」
などという事を今朝になって言い出し、俺に地図を持たせ、自分は会社に出かけていった。まあ、高校側に話も通っていると言ってたし、制服も貰っているから不審者扱いになることもない。高校へ行くこと自体も不満ではない。どうせ暇なのだから。問題は……、
「……ここ、どこだ?」
親父も、そして俺も、自分が極度の方向音痴だったことを失念していたことだ。
「どうすりゃいいんだよ……」
海岸の堤防に肘を着き、途方に暮れていると、
「……やー、ここで何してるば?」
不意に声をかけられた。驚いて後ろを振り返ると、浅黒い肌が印象的な、Tシャツ短パン姿のショートカットの女の子がいた。
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