2人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
2.怪盗ポラリスは北飛刀を手に入れるのに苦労する。
萌衣と別れた理数は少しずつ前へ前へゲートに進む列にいた。しばらくして理数の番になる。
「手荷物検査を実施しています。ご協力お願いします」
屈強な警備員がそう言うと理数は、
「あの、僕、日雇いの警備員なんですけど……」
と恐る恐るそう言った。警備員は強面の顔を更に怖くして理数を睨んだが、やがて何かを思い出したのか急に笑顔になった。
「ああ、臨時の方ですね」
「はい、そうです」
「警備員にも手荷物検査を実施しているので、ご協力よろしくお願いします」
「ああ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
理数は慌ててカバンのチャックを開ける。
このカバンは理数の通う高校のものなのだが、警備員はそんな事を気にせずにカバンの中をチェックしている。
「制服はもう貸与されているみたいですね」
「ええ」
本物は怪盗ポラリスの所有物なんですけど、と心の中で付け加える。
「もう、行っても大丈夫ですよ。警備の方をよろしくお願いします」「わかりました。色々とどうもありがとうございました」
理数は頭を下げて、ゲートを後にする。
そして、ゲートのすぐ隣にあった警備員室の扉に手を掛ける。鍵はかかっていないのか、扉はすんなりと開いた。
中は真っ暗で内装はどこにでもありそうな警備員室という感じだった。
着替えようと服に手をかけたが、カーテンが開いていることに気が付いた。慌ててカーテンを閉める。
「ここって、本館のネットワークに通じてるのかな?」
キョロキョロと室内を見渡し、USBを入れる穴を探す。
探し始めて三十秒くらいで十六分割くらいにされた画面の下にUSBが差せる穴を見つける。
「ラッキー」
そこに萌衣から預かったUSBを差し込む。USBの中には人工知能のエライちゃんが入っている。
「頼むぜ、エライちゃん」
差し込めば後はエライちゃんが勝手にやってくれると聞いているので、理数は素早く警備員の制服に着替える。
最初のコメントを投稿しよう!