4人が本棚に入れています
本棚に追加
錆びついている。歯車は錆び、動くことができない。それでもなお動こうと、錆びついたその身を動かそうと音を立てる。ギリギリと、耳障りな音を。
動いてほしくない。私はそう願っているはずなのに、歯車は動こうと音を立てる。耳障りで、聞き飽きたその音を、今日も立てている。
なぜ私のものなのに、私の意志に背くのだろう。ずっと疑問に思ってきた。なぜこうも、心と言うものは意思に背くのだろう。動いてほしくない、なのに動こうと音を立てる。嫌だ、聞きたくない、その意思はとうに消え去っていた。
残ったのは、音を立てて動く心と、錆びついた私だけだった。私はそれしか求めていない。その筈だったのに。
最初のコメントを投稿しよう!