錆び付いている

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 食堂に行くと、私の朝食が準備されているところだった。いつも思うのだが、毎日毎日私の来るタイミングがわかっているかのように準備されているのはどういうことだろう。まぁ知ったところで何か変わるわけでもないので、深くは追及しないでおこう。  今日の朝食はクロワッサンにコーンスープ、ハムエッグにサラダというごく普通の洋食だった。ここの朝食は和食と洋食がランダムに出てくる。シェフの気分次第というわけだ。私は特に異存はないので何も言っていない。テキパキと用意がされ、座って一分もしないうちに準備はすべて整っていた。相変わらず無駄のない手際だと思いながら、朝食を頂くことにする。  何事もなく朝食を食べ終え、部屋に戻る。今日は休日なのだが、予定はない。  予定がないのはいつものことで、休日に予定があったことはほとんどない。ごくたまに誰かと約束して遊びに行くようなことはあったような気がするのだが、みんな私に踏み込んでは、何もないと感じて引き返す。引き返すくらいなら最初から踏み込まなければいいのに、と思ったことを覚えている。まぁ友達ができるという期待をしたこと自体ないのだが。  しかし、休日に予定がないのは『ほとんど』であり、時々私を遊びに誘ってくる変わり者がいる。不思議なもので、私はその誘いを断ったことがない。休日に予定ができるのは喜ばしいことであり、私も退屈な時間がそれほど好きではない。  ここまで考えてふと頭を捻る。予定はないはず。だが何か忘れているような……。確か変わり者が何か言っていたような……と考えたところで時計を見る。八時三十五分。ここで思い出す。今日はどこかに行くから行こうと言われたような。集合は九時に駅前の公園。ここから駅まで急いで二十分くらい。  まずい、準備をしていない。私は荷物が基本少ないから準備には時間はそう時間はかからない。しかしいくら準備が早かろうと駅までの時間が短くなるわけではない。ほとんど使わない青の携帯でメールを送る。 『ごめんなさい、少し遅れるかもしれません』
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