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人から見ると私はそんな感じなのかと考える。しかし私は機械ではないので息も乱すし突然のことに動じる。ただそのハードルが人より多少高いだけだ。
「人をなんだと思っているのですか。人間なのですから、息は乱しますし、突然のことにも動じます。ただそういうことがないだけです」
彼女を前にすると口数が多くなるのは、彼女の人柄のせいなのかも知れない。気づいたら身の内を話してしまいそうな予感がする。話したところで面白味もないのだが、あまりいい過去ではないのは自覚している。だからこそ、うっかり話すようなことはしたくないのだ。そう考えていると彼女が話してきた。
「いつも思うんだけど、あんたって喋る度に考え込むよね。癖っぽいけど、何を考えてるの、気になるんだよね」
さすがの私も驚きを隠せない。考え込んでいる意識はないのだが、そう思われているのは初めて知った。意識をしていないことのだけに指摘されると驚くものだ。
「お、珍しく驚いた顔。意識してないってことは癖なんだね。で、何を考えてるの……って来たみたいだね。今日呼んだのはこのためなんだ」
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