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うにょうにょと蠢くデカいミミズらしきモノをアスベルは青ざめた顔で見つめていた。
無理もない。自分の口から吐き出したものなのだ。アレが今まで自分の身体の中にいたと思うと青くなるのも仕方ない‥
「えっ… まさか、本気でエイリアンとか?!!」
顔を引き攣らせるアゼルに対し、クリフェイドは冷めた口で言う
「なに言ってるんですか。エイリアン?幽霊??そんな非科学的なモノなんているわけないでしょう。第一、超現実主義者でリアリストのこの僕がそんな存在を認めませんよ。
……それと、ついでに言うと、あのデカミミズはただの寄生虫です」
そう、この頃のクリフェイドは科学を愛するリアリスト。超がつくほどの現実主義者で…
非科学的なモノはもちろん、幽霊やエイリアン。怪奇現象など科学的に解明されないモノは決して信じなかった‥。
「……ヒュー、君の弟って……夢がないね」
「…………」
アゼルの物言いにヒューは無言だ。
―― パチンッッ!
クリフェイドは徐に胸ポケットから折り畳みナイフを取る。
ヒューッッ!
放たれたナイフは風を切り…
ザクッ!
鋭く尖った鋭利な刃の先がデカミミズの中枢を深々と刺していた。
ピクピク、と痙攣するデカミミズ…。やがて一分も経たないうちに動かなくなった。
「見た目はミミズみたいですが、実際はミミズのように細胞が分裂したりしませんので殺してしまえば、それで終わりです」
と言うと、クリフェイドはデカミミズから視線を外し、酷く凍てつくような冷めた目で理事長親子を見据えた。
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