最後の食卓

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「ただいま」 「お帰りなさい」 今日も何とか残った書類を片付けて、日の落ちない内に家に帰ることができた。リズミカルな包丁の音が心地よい。 「いい匂いがするな」 「今日はおいしそうなヒラメが売ってたのよ」 「へえ、楽しみだな」 「そう言えば、となりの田中さんのところのたかし君、スイミングやってるじゃない。先週地区の大会があって1位だって、次は県大会らしいわよ」 「本当か、まだ中1なのにすごいな」 「やだ、あなた、何言ってるの。たかし君はまだ小6よ、優勝したのは小学生の部」 「ああ、そうだったな。ごめんごめん」 「いやね、たかし君が聞いたらガックリするわよ、ああそうださっき前橋のお母さんから電話があって来週の土曜遊びに来るってよ」 「そうか、おふくろも先月退院したばかりなのに無理に来なくてもいいのに」 「えっ、入院て?」 「あれ、いってなかったけ自転車で転んでケガしたって?」
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