最後の食卓

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「初めて聞いたわよ、言ってくれなきゃダメじゃない、見舞いにも来ない嫁だってなじられるの私なんだから」 「ごめん」 「もう、ゆるしてあげるから今度だけよ。はい、ごはん」 「おっ、美味しそうだな。三丁目のスーパーは高いが品はいいな」 「......」 「じゃなかった、お前の腕前がいいんだったなははは」 「もういい」 「ごめん、気を悪くしたらあやまるよ」 「そうじゃないの、私わかってたたのよ。自分が死んでいるって!」 妻は1年前に自殺した。理由は簡単だ、仕事ばかりで家庭をかえりみない主人に絶望したのだ。妻が現れるようになったのは死後まもなくだった。私はそのころ不眠症になり睡眠薬を服用しはじめた。それにともない妻の幻覚を視るようになった。不思議なことに幻覚はおぼろげなものだったのが日増しにに現実感を増しいつの間にか妻は現実世界に戻ってきた。
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