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「いないねーピカチュウ」
「草むらにいるわけがないだろう。真希(まき)、大丈夫か?」
頭が、と思いつつ俺は彼女の行方を見守る。幼馴染でありながら抜けている彼女に俺の頭の方が悪くなりそうだ。
「ゲームなんだから、待ってればいいんだよ。ルアーもお香も焚いたし、後はベンチに座っとけばいいの」
「そうなんだ」彼女は満面の笑みで俺を見る。「でもよかった、サトシに教えて貰って。電気屋さんだったらお金が掛かるんだよ」
「サトルだよっ! 俺はポケモンマスターじゃねぇ!」強めに突っ込む。「電気屋は応対したくないから、そういう風に表記してるだけだよ。手間取られることを嫌がってるだけ。お前こそボケモンかよ」
俺が突っ込むと、彼女はへへ、と歯を見せて笑う。
「そりゃそうか。インストールボタンを押すだけだもんね」
「お前、わかってて俺を頼ったのかよ」
「まあね。久しぶりにサトルと話したかったのもあるし」
そういって彼女は生地の薄い制服のスカートをパタパタと仰ぐ。
「よくいうよ。こういう時だけ甘えるのがうまいよな」
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