第1章

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 彼女のスマホの機種は相当に古く、画面にも傷が入っており年季を感じさせる。 「お、コラッタゲットだぜっ、何かサトルの弟に似てない?」  そういって真希は俺の手を掴んだまま、満面の笑みと携帯を見せつける。 「似てないし、俺の弟はザブングル加藤似だよ。どちらかといったらお前の妹の方が似てるだろ」冷静に告げて時計を見る。「後15分だな。ルアーが切れる前にピカチュウ出てくれたらいんだけどな」 「……そうだね」  真希(まき)と約束してしまったのだ、ピカチュウを必ずゲットすると。  彼女との久しぶりの接点に心は高鳴っていく。  できることなら、このまま彼女の心までゲットしたい、と俺の心臓がいっている。
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