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その後しばらく倉庫の整理をしていると、奥の方に黒い台座に突き刺さっている日本刀を見つけた。
日本刀なんて生で初めて見たよ。
「瑞枝が言っていたのはあれか……」
刀身は剣道の竹刀と同じくらいだろうか。
ただ銀色に煌めくそれは美しくも妖しさを秘めているように感じた。
見つめていると吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
無意識に魅入られ、手を伸ばしかけた瞬間ーー
「灯佳、あとどれくらいで終わりそう?」
「っ!?」
瑞枝が倉庫へ様子を確認しにきた。
驚き過ぎて心臓がバクバク言ってる。
「って、なにそんなにびっくりしてるのよ?
お化けでも出たと思った?」
笑いながらからかうように告げてくる。
もし彼女がタイミングよく来なかったら、どうなっていたか……
いや、別に刀に触れていただけだろうから何も起こる訳ないんだけどね。
「そ、そんな訳ないだろ!」
「ま、お化けみたいなのは本当にいるんだけどね」
「こ、怖がらせようとしても無駄だからな。
俺は幽霊なんて信じてないから」
「声震えてるけど?」
「気のせいです。
それよりお化けなんて本当はいないよね?
別に怖くないけど一応聞いておきたいから」
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