11人が本棚に入れています
本棚に追加
パキンッ!
不吉な音が倉庫に鳴り響く。
「ええええ!?
ちょっ! ええええええっ!?」
同時に俺の絶叫が部屋全体を支配した。
周りにはダンボールが積み重ねられ、棚には沢山の物が収納されている。
俺こと山吹灯佳、人生最大のピンチである。
おち、おち、落ち着け俺! これはきっとドッキリだ! そうに違いない!
まず今日は神社の倉庫整理を頼まれていた。
ある程度目処がついたので、倉庫の奥に安置されていた大理石のような物に突き刺さっていた刀を抜こうとしたら、ポッキーみたいに簡単に折れた。
ほとんど力いれてませんけど!?
ていうか、絶対に抜けたり折れたりしないって言ったじゃないですかああああ!
「興味があるなら、抜いてみてもいいよ。絶対無理だけどね」とか笑いながら話していたじゃん!
ぶわっと冷や汗が全身から溢れだす。
ととととりあえずどうするこれ!
両手で握っている刀の柄を凝視しつつ呆然と立ち尽くす。
「どうしたの灯佳!」
俺の叫びを聞き付けたらしく、心配するような女の子の声が響き、バタバタと走って来る音が耳に届く。
あ、終わった。俺の人生ここまでか。
この刀いくらくらいするんだろう?
学生の俺に返せるような値段じゃないよな。この神社に代々伝わる宝具とか言っていたし。
まさか怖い人に連れていかれて……
最初のコメントを投稿しよう!