プロローグ

3/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
ーー 「お兄さんまだ若いのに大きな借金作っちゃったんだって? でも大丈夫。短時間で簡単にお金稼げる仕事を紹介してあげるからね」 「あ、あの臓器売買とかは流石に……」 「ははは、今時そんなことしないよ。 ただちょっと特殊な人に身体を貸せばいいだけだからねー。 君まだ高校生だし、30分で5万くらいいけると思うよ。 大丈夫。最初は痛いだろうけど、慣れてくれば気持ちよくなるからさ」 ーー そんなアッーー展開は嫌だあああ! どうでもいいけど「アッーー」ってどういう風に発音するんだよ! 「大丈夫灯佳! 床でも抜け……た……?」 バン! と引き戸が開く音と共に、烏の濡れ場のような美しい黒髪の少女が現れる。 ノースリーブに近い巫女服を着ている彼女は、俺が手にしている折れた刀を見て唖然とした。 「瑞枝……様、これ……どうしようか、はは……」 顔だけをこの刀の持ち主である“瑞枝玲里”に向け、掠れた情けない声を出す。 腕ーーというか、全身がカタカタと震える。 本当にこの後どうなってしまうのだろう。 嫌な未来が頭の中をグルグルと駆け巡る。 もうまともに彼女の顔を見られない。 審判の時をじっと待つ以外の選択肢は存在していなかった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!