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ーー
「お兄さんまだ若いのに大きな借金作っちゃったんだって?
でも大丈夫。短時間で簡単にお金稼げる仕事を紹介してあげるからね」
「あ、あの臓器売買とかは流石に……」
「ははは、今時そんなことしないよ。
ただちょっと特殊な人に身体を貸せばいいだけだからねー。
君まだ高校生だし、30分で5万くらいいけると思うよ。
大丈夫。最初は痛いだろうけど、慣れてくれば気持ちよくなるからさ」
ーー
そんなアッーー展開は嫌だあああ!
どうでもいいけど「アッーー」ってどういう風に発音するんだよ!
「大丈夫灯佳!
床でも抜け……た……?」
バン! と引き戸が開く音と共に、烏の濡れ場のような美しい黒髪の少女が現れる。
ノースリーブに近い巫女服を着ている彼女は、俺が手にしている折れた刀を見て唖然とした。
「瑞枝……様、これ……どうしようか、はは……」
顔だけをこの刀の持ち主である“瑞枝玲里”に向け、掠れた情けない声を出す。
腕ーーというか、全身がカタカタと震える。
本当にこの後どうなってしまうのだろう。
嫌な未来が頭の中をグルグルと駆け巡る。
もうまともに彼女の顔を見られない。
審判の時をじっと待つ以外の選択肢は存在していなかった。
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