プロローグ

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瑞枝が出ていってからどれほどの時間が経っただろう。 とりあえず誠意を見せるため、正座で待っている。 だんだん足が痺れてきた。 実際は30分も経過していないのだろうが、体感的には2時間~3時間の時が過ぎているような気がする。 はてさて、本当にどうなるんだ俺は。 瑞枝はあまり気にしてないような素振りだったが、ただの強がりだよなあ…… つうか、俺と同い年のくせに神社で一人暮らしなんて訳ありに決まっているじゃないか。 「もしこの折れた刀が親の形見とかだったら、どうするよ」 隣に置いた刀をジッと見つめる。 ……外でこっそり泣いていたりしないよな? ヤバい! そう考えるといてもたってもいられなくなる! 大人しく待っているようにいわれたが、それどころじゃない! まともに謝罪もしていないし、罪悪感で押し潰されそうだ。 とりあえず謝ろう。 大人しく待っていろと言われたが、取り返しのつかないことになる前に謝るのが先決だ。 おもいっきり立ち上がった瞬間、まるで軟体動物のように足がグニャリと曲がる。 あ、正座してたから足が痺れてたのか…… 気付いた時には既に遅かった。 自分の意思とは裏腹に、背中から後ろへ倒れこむ。 ズダン!という衝撃音と共に鈍い痛みが走った。
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