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「悪いわね、灯佳。
倉庫整理の手伝いなんか頼んじゃって」
神社の拝殿の前で、ノースリーブの巫女服を着た黒髪の少女が、申し訳無さそうに告げてくる。
俺こと山吹灯佳(やまぶきとうか)は今日はこの桜花神社の倉庫整理を頼まれているのだ。
彼女名前は瑞枝玲理(みずえれいり)。
田舎町の中にある神社の巫女さんである。
ちなみに俺と同い年で高校生だ。
つうかその独特の巫女服を最初に見たとき、つい凝視してしまった。
腋を露出したノースリーブの白衣に、装飾された白衣の腕袋を身に付けている。
赤い袴はスカートになっており、動きやすさを重視しているように感じた。
瑞枝の主張は「普通の巫女服だと堅苦し過ぎるから」らしい。
あと「アニメでこういう巫女服を着ていたから、私も真似した」という話も聞いた。
前半はわからなくもないが、後半は建前上は神に仕える者なのに問題ないのだろうか?
まぁ、俺もそのアニメは見ていて、ちょっと嬉しかったりするんだけどね。
「どうせ暇だし、構わないさ」
「ごめんね。
この神社に仕えられるのが、私しかいないから」
そう。
桜花神社は巫女の瑞枝が1人で管理し、暮らしているのだ。
そこまで広いというわけではないが、神社の鳥居を抜けると参道があり、真っ直ぐ進むと拝殿、奥に本殿がある。
基本的な造りは普遍的な神社と変わりない。
住む場所も境内にあるらしい。
1人で管理する理由は不明だが、あまり踏み込んだところまで聞くのも憚られるため、話題にはしない。
瑞枝もそれを望んでいるはずだ。
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