第4章

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「どう言う意味だーー」 「そのままの意味です。 我が君は神話の最後のページに載る“悪魔の子”ですから、人間の世界に居場所がないのは当然です」 姿は見えないが、木の上にいるであろう者からの問いに対して、紅雪が現界回帰をして答える。 雪のように白い髪、白い肌、白い着物。 まさに雪の擬人化、雪の精霊と呼ぶにふさわしい姿。 しかし、紅い目と紅い帯は、おそらく神々への恨みからそうなってしまったのだろう。 本来白目の部分が紅く、黒目の部分が少し青がかった白。 艶がありサラサラな白い髪は腰まで伸ばしている。 彼女の手には、刀の紅雪と瓜二つの刀が握られていた。 彼女がちらりとこちらを見たその瞳は冷たさを感じさせず、底なしの暖かさすら感じた。 “貴方は1人ではない”ーー まるでそう言っているかのようなーー
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