59人が本棚に入れています
本棚に追加
千春はまたしても白神様に助けられたんだと思った。
狼が帰って来た、狼は鼻を伸ばし千春の安全を確認するように
体に触れた、そして身体を擦り付けながら通り過ぎ、
闇の中へ消えて行った。
あれ、自分の後ろは壁のはずなんだけど、千春は思った。
「千春ちゃん、大丈夫だったか!」
近くの暗闇から太郎の声がした。部屋の電気が点いた。
近くに太郎がいて他のメンバーも慌ててやって来た。
「よかった千春無事で、私怖くて怖くて・・・」
みどりが泣きながら言った。
「西沢の奴等悲鳴上げて逃げて行ったよ、泣きそうな顔して、
千春何したんだあいつらに」
「たぶん・・・ 私のお岩さんが怖かったんじゃないの」
「そうだよね、それ本当に怖いよね」
一つ目小僧の太郎が笑った。
その夜、千春は太郎に話した。
「私は白神様に助けられたのね、それも2回も、本当に怖かった。
で、太郎君はどこにいたの? 私を助けてくれようとしたよね当然」
「当たり前だよ、千春ちゃんに危険が迫ってるのに、
おら西沢をやっつけに行こうと思った時白神様に服引っ張られて
止められたんだ、残念だった」
本当にそうなの? と疑う千春だった。
「白神様ってすっごく大きくて逞しいんだ、黄色い目が怖そうだけど
優しいんだね、私もファンになっちゃった。
でも、白神様って名前ちょっとダサい気がするんだけど、
真っ白いからシロって呼ぶわね」
「白神様の本当の名前は分からないんだ、おらが生きてた
何代も前から言い伝えられてるから、シロがいいよ可愛いよ」
「でも、誰もシロを見なかったみたい、唸り声は聞こえたでしょ」
「シロは見せたい相手にだけしか姿を見せないんだよ、
西沢がシロを見て怖がっただろう、誰にもみせられないよ、
それと好きな人だけだ見れるのは」
「そういわれると凄く嬉しいけど、心配なのは西澤達が
また襲って来るんじゃないかって、もっと大勢で」
また来ると思うと心配だった。
「それはたぶんないと思うよ、西沢以外の奴は手や足だけだったけど、
西沢の場合は・・・ もしかすると命がないかも」
慎重に太郎が言った。
最初のコメントを投稿しよう!