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美紗はカウンターにのった本を手にとった。カラーイラストはとてもきれいだったが、いまふうのキャラクターたちの姿にはまだ違和感があった。
過去に自分が文脈から思い描いた彼らではない気がした。
美紗はマンガのページをとばし、本文をめくった。
最初に飛び出してきたのは、この物語の語り手である記録役の饒舌な少年。眼鏡とサンバイザーがトレードマークだ。叔父さんからゆずりうけた古いタイプライターが宝物で、これだけは誰にもさわらせない。
そして警察犬なみに鼻がきくという大きな鷲鼻の少年。前髪でいつも両目が隠れているミステリアスなキャラクターだ。
紅一点、アクション担当のおてんば娘は、はちみつ色の金髪という設定だ。彼女は、男の子も大人もおそれない。言うこともサバサバしていてかっこよく、気弱な美紗のあこがれだった。
そして、赤髪に緑色の目、いっぱいのそばかす、という醜男の団長。自分勝手で横暴で、でも決断力と頭脳はピカイチ。
彼らは今も、どきどきするほど魅力的だ。
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