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――うちの桃だって、ちょっと親がアドバイスしてやればこのくらいできたはずだ。
そんな嫉妬に似た気持ちが頭をもたげ、桃の宿題を手伝ってやらなかった自分に腹を立てるのではないか、と思うのだ。
――桃にもっとなにかしてやれたはず。
美紗はいつもそんな後悔におびえている。桃が美紗にとってたった一人の子供であることも、一つの原因だろう。
桃をさずかってからというもの、子育て論の本をいくつも読んできた。その中には赤ん坊のIQ値を上げる方法だとか、子供を東大に入れる方法、といった本もあった。
美紗は、桃を特別優秀な子にしたい、というわけではない。でも自分がちゃんと親になれているのかいつも不安だった。模範解答を求めるような気持ちで書籍をあさっていたのだった。
――だって、世間は結果でしかものを見てくれない。
新聞をひらけば、「いまどきの若い母親」を批判するような投稿がいやというほど目についた。
頑張って子育てした結果、とはいつ出るのだろう。
ゴールとは、どこにあるのだろう。
一体なにをめざして毎日生きればいいのだろう。
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