ハロー、アゲイン

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「桃、通知表は?」  ソファに座ってテレビを見ていた桃が、不思議そうな顔をして美紗を見た。二つに結った髪がぴょこん、と揺れる。 「ないよ」 「え?」 「なに言ってんの、ママ。二期制だから、通知表もらえるのは十月の秋休みだよ」 「あ、そっか」 どうもまだこのシステムに慣れない。夏休み最後の日、といえば通知表、という認識がすりこまれているせいだ。  美紗は洗濯物をたたみ終え、最後に靴下を一足一足あわせて立ちあがった。 「お昼スパゲッティでいい?」 「なにスパ?」 「たらこ」 「やったー。おなかすいてきた」 無邪気な声がする。ありがたいことに、桃は素直な子に育っていると思う。
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