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自分よりほんの少し年上の少年少女たちが四人集まって探偵団を結成し、身近な事件を解決するお話に、美紗は夢中になった。一冊読めば、次、また次、と夢中でシリーズを読破していった。
あのときは、こんなマンガみたいな装丁ではなかった。挿し絵にあったキャラクターの顔もこんなに可愛くなかった。美紗は、瞳がキラキラしている少女や、顎がとがってスマートな印象の少年の顔を見た。服装も今っぽくおしゃれになっている。
――今はこんなかたちで出版されているんだ。
なつかしい、というよりちょっと意外な気持ちで見入っていた。
表紙をひらく。見開きにもきれいなカラー絵が入り、キャラクターを紹介するための四コママンガまでついていた。
目次のページまで来たとき、再び美紗の手がとまった。
――ああ、この本の結末を私は知らないんだった。
それは当時小学三年生だった美紗が、途中で読むのをやめてしまった一冊だった。
それまで、夢中だったのに、突然怖くなって先が読めなくなってしまったのだった。
人が死ぬのだ。
それも、なんの罪もない人が突然、通り魔みたいな犯人に毒を盛られて。
いや、なんの罪もないのかどうか、最後まで読まなければわからない。なにかどんでんがえしがあったのかもしれない。
でも、美紗には怖かった。
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