第1章

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町から数キロ離れた所に墓地がある。 俺の家は町の中でも、一番墓地に近い位置にあった。 ある晩、何時ものように酒を飲んでいた、否、浴びていた俺の目に、深夜放送の映画が突然中断し、臨時ニュースを知らせるテロップが映る。 アメリカを含む世界各国で死者が蘇り、生者を襲い、その肉体を食い千切っているというニュースだった。 俺は鼻を鳴らし、チャンネルを次々と変える。 だが、どのチャンネルも臨時ニュースを伝える番組に切り替わっていた。 仕方なく臨時ニュースを伝える番組を見ているうちに、俺は眠ってしまったらしい。 翌朝早く家の直ぐ外から聞こえて来た、パトカーのサイレンと車が急ブレーキで止まる音、それに続けざまに発砲される銃声による騒音で目を覚ます。 痛む頭を押さえ寝ぼけ眼で窓から外を見た。 家の前の道路にパトカーが数台道を塞ぐように止まり、パトカーの周囲に散らばった警官達が、墓場のある方向に向けて銃を乱射している。 窓を開け身を乗り出すようにして、墓場のある方向に目を転じる。 そこには、ヨロヨロと覚束ない足取りで此方に向けて歩いて来る、埋葬された顔見知りだった町の人を含む多数の人達いた。 彼らは身体に銃弾を浴びても痛がりもせず、青白い顔でノロノロと近寄って来る。 身体に銃弾を浴びてもその歩みを止めないが、頭に銃弾を受けると、彼らはその場に崩れ落ちた。
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