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「ただいまスピたーん!今日色んな事が有ってお土産の缶詰買って来たから許し、、、、、、、、」
家に帰るなり自分の猫に話しかけるという行為は、他者に見られた時どれ程の気恥ずかしさが生まれるのであろうか?兎にも角にも私は固まってしまった。スピカさん(飼い猫)しか居ないと思った家の中にはあのコスプレ男が寝転がっていた。
「あ、お帰り。それにしてもこの世界の読み物は衣服に関する物ばかりだな。それに面妖な男同士の絵が絡み合う、このイヤラ、、、、、、、、、グファァァァァァ!!」
コスプレ男の持っていたファッション雑誌と、個人的趣味の素人創作漫画プレミアム価格5千円の薄い本を取り上げた瞬間、私の右脚は男性の急所を的確にクリーンヒットさせることに成功した。
「嘘よ、、、、、、、歴代の彼氏にすら見つかった事の無い私の趣味が何であんたみたいな意味の解らないコスプレ男に、、、、、、、」
肉体的ダメージはコスプレ男の方が遙かに大きかったが、精神的ダメージは私の方が遙かに大きかった。股間を押さえて悶える男と、膝を付いて四つん這いになって泣き崩れる女。異様な空間と化したこの場を一匹の猫が通り過ぎた。
「、、、、、、、、、スピたん。貴方まで行ってしまうのね、、、、、、、、」
餌がまだ残っていたのか口をペロペロとしながら顔を洗うと、窓の外に元気よく飛び出して行った。その間コスプレ男はずっと壁の方を向いたまま”うーん”と呻き声を上げ続けた。
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