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起き上がり目が覚めると頭に激痛が走り思わず前のめりに頭を押さえる。原因は解っておりいつもの事であった。眼前に広がるゴミの山と高く積まれたビール缶のタワーを片づけるべく起き上がろうとしたが諦め再び横になると蛍光灯が眩しかったため腕で目を覆う。
「何時まで寝てるのよ、もういい加減私帰るよ?子どもと旦那が待ってるんだから」
親友のともみは私を介抱してくれる為だけに来てくれていた。なんて良い親友なんだろうと涙が出そうになったがあまり感情が込み上げると違う物まで込み上げて来そうになった。
「嫌だぁ!帰んないでよ!淋しいから!このままアタシと暮らしてよぉ!うっぷ」
駄々を捏ねるのもまさに綱渡りであった。しかしそこは慣れたものでともみはアッサリとアタシを断ち切る。勿論そう言われる事は解っての事である。
「いや、私結婚してるしアンタも早くいい旦那見つけなよ。家事溜まってるんだから帰るよ」
それが出来ないからこうして三十歳のバースディに一人で飲んだ暮れていたのに残酷な親友である。例えそう言われる事が解っていても、そう言わずにいられない自分が情けなかったりもする。
「わかった。がんびゃる」
未だ酒が抜けきっていないのか、舌が回らない情けないアタシの挨拶と共に親友(ともみ)はアッサリと家から出ていった。扉の閉まる音を聞くと再びぬるくなったビールをグラスに注いでいた。
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