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倒壊し続けた建物は土煙を上げるとようやく瓦礫の山となりその轟音を鳴りやませた。土煙が上がったまま辺りの視界は遮られていた。
「あの、大丈夫ですか!生きてますか!何処ですか!」
愛梨が叫んでいた。離れていた為無事ではあったが瓦礫の欠片や土煙を被っていた為、身体中が薄汚れていた。ヒモ勇者を探していると先にクラーケンの足を見つけてしまった。動かない為危険は無さそうに見える。
ーーーーーーーーガラガラ、ズンッッ!!
一瞬飛び跳ねる様にしてそちらに向き直った。あのクラーケンが動いたのかと驚いたのだった。ヘルメットがズレたまま口元をハンカチで押さえ覗き込むように其方を見ると、突如瓦礫の中から土人間のような者が飛び出した。
「ひゃぁぁぁぁぁ!食べないでくだひゃい!!」
腰を抜かした愛梨はずれていたヘルメットを落としその場で座りこんだ。土人間だと思ったそれが犬のように震えると先程のヒモ勇者である事が解った。額から血が出てはいたが大した傷では無さそうである。
「よう!無事だったか。もう少し待て、まだコイツを封印していない」
親指で自分の後ろに居るクラーケンを指すと、胸元から丸い水晶を取り出した。そして片腕で持ち上げると太陽を翳す様にし、その焦点をクラーケンに当てるとまるでその空間事吸い込まれる様にして渦を巻きすっかり瓦礫以外何もなくなってしまった。
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