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それを見届けたヒモ勇者は、腰を抜かしていた愛梨に手を差し伸べた。目と目が合う、しかしヒモ勇者は実に面倒くさそうな顔であったが愛梨はそれには全く気がつかなかった。と言うより恋という魔力で何も見えなかった。
「あの、助けて頂き有難うございます!アイアイ実はアナウンサーの端くれなんですが貴方の密着取材を、、、、、、」
「すまんな、俺は忙しい身なんだ。君の様な可愛い女性の取材なら喜んで受けたいがこの世界を見守る義務があるので(主にTVとかで)」
そう言い、マントを翻し後ろを向けた瞬間に指を鳴らした。その瞬間辺りに光の粒が弾けたように舞うと、今まで人が居なかったのが嘘のようにいつも通りの町の喧騒が突如甦った。結界が解けたのだった。
「、、、、、、、、もう一度会えますか」
そう一人呟くが人ごみに紛れる様にヒモ勇者は町に消えた。そしてそれを見守る愛梨はハッと我に返ったのはカメラマン達に声を掛けられてからだった。ちなみにヒモ勇者はやれやれとコンビニの元へ戻っていった事は勿論知らない。
世界の救世主も何度もそう言う目に合うと、ただ面倒な作業にしか感じなくなっていた。元よりものぐさなヒモ勇者である。そうなる事は最早当然であり必然であった。
「コンビニぃ~!アレ買ってくれよ、とりあげさんマンゴスチン味。期間限定って書いてた」
「勇アンタ。何でこの人混みで私をすぐ見つけられるのよ!ってか戻ってそうそうたからないでくれる!」
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