時が過ぎればヒモ勇者

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 そうこうしながら、ヒモ勇者は荷物を受け取った。鎧を着込んだままのヒモ勇者は目立ったが、本人が気にしていなかった為、コンビニだけ離れて歩いて帰る。勿論、鎧を着たまま買い物の続きが出来る訳も無くそこから家路に着く事になった。  帰りに自宅近くの行きつけのコンビニでリクエストの”とりあげさんマンゴスチン味”を買って、その場で今日の労働報酬を渡すと家に帰った。しかし、家の扉の前で立ち止まる事となった。と言うよりヒモ勇者に止められたのだった。 「ふぐぁ!ふぐぐふごるぁ、ふんぐぐっぐ!あがぁ!」 「何言ってんのよ!アンタ唐揚げ口にいっぱい入れたまま喋らないでくれる!カスが飛ぶでしょ!」  暫くヒモ勇者が鳥の唐揚げを飲み込むのを待った。と言うか何故この男は買った唐揚げを一口で一気に食べようとしたのかは謎である。ちなみに私はその間、何度もドアノブを開けようとしたがヒモ勇者に手を払われた。 「、、、、、、、、んぐぁ!待て、この部屋誰か居るぞ!!」  開口一番ヒモ勇者はそう言うと、扉をゆっくりと開け中をこっそり覗き込んだ。ヒモ勇者は覗いた先に誰かが居るのを確認すると、何故か振り返り何処かに逃げようとした。しかしコンビニは襟首を掴んで逃げない様にすると今度はコンビニが扉をそっと開け中を覗いた。  横になっているポニーテールの女の子が一人。緑色の民族衣装のような服装が外国人かと思ったが、そんな一般常識的な答えは皆無である事が一目で解る所が有った。女の子の耳が異様に尖っていた。異世界人でも有名な類の者である。 「あの子、勇の世界から来たんでしょ。確かあれってエルフって言うのよね」
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