時が過ぎればヒモ勇者

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 絶世の美少女であり巨乳属性を持ち合わせたハーフエルフのミトンである。世間の男が腕を組まれれば大喜びであろうこのシチュエーションだったが、ヒモ勇者はまるで能面の如く死んだ様に無表情であった。 「ねぇ、所でアンタ何者?どうやって此処に来たの?」  クーラーが効いて来た為、余裕のできたコンビニがそう言って来た。事と次第によっては、いや事と次第が無くても出て行って欲しいという気持ちが無い訳ではないが。此処に居る以上事情位は聞く権利が有る筈である。 「私はこの勇者様の婚約者です!!今すぐ式を上げに来たんですぅ!!」  この一言で解った事。それはこのラブコメ脳美少女は、日本語では意思通が難しい宇宙人であるという事だけであった。正直、鬱陶しいため放り出そうと思ったが、夜にこの二人を外に放り出して逆に喜ばれても何処か腑に落ちない気もする為、我慢していた。 「で、そこのアホ面下げた勇者様はどうしたいの?ってか勇から説明してよ、意味解んないし」 「う、コイツは。昔救った村の娘なんだがこの通り懐かれてな」  顔を見合わせたあヒモ勇者とミトンだったが、ヒモ勇者の方は脂汗を全身にかいていた。何やら事情が有る事はその表情から分かった。  どの途、異世界から来た美少女を夜の町に放り出す程の非情さは持ち合わせてはいなかった為、明日以降ヒモ勇者と同じように徐々に話を聞くしかないのかとため息と共にコンビニは諦めた。
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