出社した彼女とついて来た勇者

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「それが出来れば苦労はない!この世界には魔力(マナ)も無ければ跳躍魔方陣(トリックゲート)も無いじゃないか!」  まだこの手の話を続けようと言うのか、本当に警察を呼んでやろうかと思ったが丁度バスがやって来た為、逃げる様にバスの中に乗り込んだ。流石にバスの中までは追っては来ないだろうと安堵し呟いたが。 「はぁ、朝からついてない。明日から暫くお酒は控えようかしら、でも楽しみが減るのはね、、、、、、って何でアンタ乗ってるのよ!!」  背中に嫌な気配を感じ振り返るとコスプレ男はまだ着いて来ていた。辺りをきょろきょろと眺める様は何処かぎこちなく戸惑っている様子が伺えた。まさかバスに乗った事が無いなんて事はないと思うんだけど、年齢的に。 「それにしても、この鋼の牛の腹の中はどうなっているんだ。本当に中に入って大丈夫なのか」   バスも通らないような場所からやって来たとでも言いたいのだろうか。頭が痛いとバスの前の方に詰めると、アタシの隣に着いて来て何やら文句を言っていた。しかし、知り合いに思われたくなかった為、ずっと聞こえない振りをした。  周りからは白い目で見られている。しかし、相手になどしていられない。仕事がアタシを待っているのだ。程なくして頭のおかしいコスプレ男から逃れられると、次の停留所の名前が放送された時だった。 「おい!何だよあれ!UMAかなんかじゃないのか?着いて来てるぞ!!」
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