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―――
「……とりあえず、風呂に入れ」
コーカを信じるならば――というよりもうこうなると信じざるを得ないが――今の姿形は人間でも、ついこの間まではゴ(以下自主規制)だった身なのだ。なんか汚そうだった。
「おおーっ、風呂ですか。風呂にもたくさんの食料がありますよねぇ。例えば――」
「それ以上はいうな」
聞いても有意義ではない気がした。むしろ聞いてはいけない。
上がりたくなったらいってくれと伝えて、浩太は浴室から離れた。人間ではないとはいえ、女の子の裸を見てはいけないという倫理観が、浩太の中にはあった。
「人間の弱点を探るため、そして生態を探るため、わたしはゴ(以下自主規制)の神様から人間の身体をもらったですよ」
つい数分前、コーカは勇ましくそう告げた。
なんだ、ゴ(以下自主規制)の神様って。突っ込むのはやめておいた。
「最近、人間の開発する殺虫剤の威力にわたしたちの進化が追いつかなくなってきてるです……。ゴ(以下自主規制)界隈でも、そのことに危機感を抱き始めまして」
なんだ、ゴ(以下自主規制)界隈って。突っ込むのはやめておいた。
「だからスパイとして、ここに送り込まれたのですよ! 要するに気分はGG7(ダブルジーセブン)ですよ!」
指をピストルのようにする、コーカ。
なんだ、GG7って。こいつほんとにゴ(以下自主規制)なのか? 突っ込むのはやめておいた。
そんなこんなで頭がおかしくなりそうだったので、コーカを風呂に追いやったわけだ。もうなんか色々とこのままやめたい。
とりあえず追い出すべきなのか考えてみた。だが、正体はゴ(以下自主規制)とはいえ、今の姿形は人間なのだ。人間の女の子。しかも同世代の。
もしも冷たくつきはなしてしまったら、コーカはどうなるのだろう。お節介な心配をしてしまうのが浩太の性格だった。可哀想に思えてくるのだ。
でも、なんだかんだで生きていくのかもしれない。なんたって正体はゴ(以下自主規制)だ。
なんか複雑なのだ。どう対処すればいい。
色々と考えているうちに時間がどんどん過ぎていった。コーカが風呂に入って三十分以上が経つ。
時刻は十九時を迎えそうだった。まずい。そろそろ母親が帰ってくる。ちなみに父親は単身赴任で別居中だ。
母親にバレると面倒になる。とりあえず、コーカを部屋に隠すことにした。浩太は浴室に向かった。
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