蟻は何故、女王をつくるのか。

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6月中旬 初夏の風が生物室のカーテンを揺らしている。 不本意ながら主人公に任命され、これから起こるであろうちょっぴり奇怪で憎めない出来事に首根っこを掴まれた男子高校生が1人。 その少年の名を蔵並 諒太(くらなみ りょうた)という。 そしてこの物語の舞台となるのが神奈川県鎌倉市、北鎌倉駅から徒歩10分、建長寺近くに創建された北鎌倉高校である。 蔵並君は今、北鎌倉高校の生物室で立体顕微鏡を覗き込みピンセットを巧みに使ってシャーレーの中の蟻を懸命に見続けていた。 彼は理科同好会(初期は科学同好会であったが致し方ない理由により改名された。)の部員である。 「うぇっ。」 また、大の虫嫌いでもある。
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