第1章 ゆめ

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その日の夜は言い表せない恐怖のせいか、寝る気にはならなかった。 しかし、眠気はやってくるのである。 その眠気を紛らわすために、漫画を読んだり、ゲームをしたり、色々なことをやった。 「流石にやる事が無くなってきたな。」 やる事が無くなり、ぼーっとしていると聞こえてくるのは時計の秒針が動く音と、外を自動車が走る音くらいなものだ。 昔きいた、静かな所にいると自分の心音が聞こえてくるってのは本当らしい。 様々な音を聞いていると、俺は異変に気がついた。 「なんか…頭がいたいな…。」 さっき聞いた時よりも心臓が若干早く脈を打っている事がわかる。 頭痛は次第に大きくなり、耳鳴りまでし始める。 さらには、さっきまでは何ともなかった眠気までが牙を剥き、襲いかかってくる。 「いっ…!」 痛みに苦しみ、身体を横にすると痛みが和らぎ、代わりに眠気が増してきた。 意識がスーッと遠のき、次第に周りの景色がとろけて行く。 「眠い…。」 ハッキリとした言葉にならなかった。しかし、そこには強い意識がこもっていた。
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