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切なくて
全てから目を逸らし。
頬杖をついたまま僕は窓の外を見ていた。
少しずつ
アンジュと過ごした別荘が遠ざかってゆく。
心がざわざわした。
こんなにも感傷的に
後ろ髪惹かれるのは
生まれて初めてだった。
「リカ、これ。部屋にあったわ」
「……ああ」
僕は助手席の母に手渡された携帯を
ぼんやりと弄る。
『リカ、おはよ』
メッセージが1件来ていた。
エルからだった。
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