番外編──宝物──

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 ◇  日勤後、食事をして風呂に入って落ち着いてから箱の中身を確認した。  封筒が入っていた。手紙のように見える。一番上のものを試しに手に取ってみた。これまた黄ばんでいて古そうなものだ。宛先を確認すると、祖父から祖母に向けたものだとわかった。  それだけ確認して、幸一はまた手紙をしまって箱の蓋を閉じた。  病院にまで持ってきていたのだ。祖父との大切な時間が詰まったものなのだろう。蓋を開けたままにしていたら、祖母の大切にしていた時間が、空気が、外に流れ出して空っぽになってしまいそうな気がした。このまま、母に渡そうと思った。  蓋を閉じたところで気がついた。和紙は元々貼られていたものじゃなく、後から貼られたものだと。  綺麗に貼られていたにも関わらず気がついたのは、それが小さい頃に幸一が祖母と貼ったものだからだ。二十年も前のものが綺麗に貼り付いているわけがない。きっと、はがれそうになるたびに祖母は貼り直してくれたのだろうと思う。よく見れば箱の柄とはまるで合っていないのに。  幸一は箱を撫でた。祖母に思いを馳せながら。
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