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和人は勝手知ったるというように、自分で冷蔵庫から氷と麦茶を出して飲んでいる。喉仏が上下するのを見て、なぜかセックスの時の和人を思い出してしまって目を逸らした。
暑い外から入ってきた和人の喉に汗が浮かんでいるのが見えたからだろうか。
元々背が高くて甘い顔立ちで、男の幸一から見ても「モテそうだな」「カッコいいな」と思っていたが、この夏、また少し背が伸びたのではないだろうか。受験生だからと距離を置いていたが、もっと実家に帰ってこっそり様子を見れば良かったと思った。和人の成長をせっかく近くで見られるチャンスなのだから。
好きな相手の成長を見られる。すごくね?
「なんでそこでニヤニヤしてるの?」
なんでもない、と言いながら、幸一は心の中で休みの日にはこっそり実家に帰ろうと決める。和人の家とは近所だから、姿を見る機会はあるだろう。勉強の邪魔になってしまうから、こっそり。それで和人の成長を見守るのだ。
……うん。いい考えなんじゃね?
「それにしても」
「うん?」
コップをテーブルに置いた和人に、腰をぐっと引き寄せられる。
「いくら俺が受験生だからって、あのメールや電話は素っ気なさ過ぎない?」
「そ、そんなことはねえだろ……っ」
肩に手を置いて、なんとか身体を離そうとする。和人はまだ少し汗ばんでいて、熱い。
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