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【隆弘side】
あんな真司郎、初めて見た。
そしてこんなに声を荒らげたのも久しぶり。
隆 「あ、伊藤さんを探さなきゃ!」
俺は慌てて、店を出た。
隆 「どこにいるのー!」
「伊藤さーん!!」
探しても、見つからない。
疲れて、公園のベンチで休もうとしたら……
「ううぅ……泣」
女性の泣き声が聞こえた……。
まさかと思い、覗いてみると……
隆 「やっと、見つけた……ハァ」
千 「あ……」
彼女は泣いていた。
とても悲しそうに辛そうに泣いていた。
隆 「辛かったよな、ごめんな。」
千 「ううん、大丈夫だよ!」
無理して、明るく振る舞ってる。
そんな顔しないでよ……
隆 「浮気とかでいなくなったんじゃないだろ?」
千 「……うん………………泣」
隆 「そっか、もっと辛かったよな。」
いつの間にか、俺は彼女のことを抱き締めていた。
千 「もう少し……」
隆 「え?」
千 「もう……少しだけ、このままでいて……!」
そう言った彼女は溜めてた涙を一気に流した。
千 「うわぁぁぁん!泣」
俺は背中をポンポンしてあげることしか出来なかった。
そして彼女は次第に俺の胸の中で眠ってしまった。
隆 「伊藤さーん……」
ダメだ、こりゃ寝てる……。
どうしようか?
彼女の家知らないし、だからと言ってここにいるのも風邪をひく。
隆 「俺の家で寝かせるしかないか……。」
歩いて5分もかからないところにあるから、彼女をおんぶして、夜の暗い道を進んだ。
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