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【千晃side】
私は残業が長引いて、帰り時間がいつもより遅かった。
「あぁ、もうこんな時間……。」
仕方なく、いつもは通らない人気のなく薄暗い近道から帰ることにした。
早足で道を進んでいくと……
(あ、誰かいる……)
幽霊だったら嫌だなと思いながら通り過ぎようとしたとき……
「俺はなんで生まれてきたんだ……?」
「俺はなんで生きているんだ……?」
え、?
びっくりしすぎて、足が止まる。
さっきまでの ゙怖い ゙がなんて忘れていた。
彼はなにか追い詰められているような感じがしたから、声をかけてみた。
「あの、大丈夫ですか?」
「えっ……?」
彼は不思議そうに私を見ていた。
暗くてあまりわからないが、とても透き通った声をしていた。
そしてあることに気づく。
「あ!怪我してますよ?!」
とっさに大きな声で言ってしまった。
彼は大丈夫と言っているが、私から見て大丈夫そうではなかった。
いつの間にか、私は彼を放っておくことができなかった。
だから、家に入れて手当をした。
そのあと、彼がお礼がしたいと言うので連絡先を交換して別れた。
私は一体なにをしているんだろう。
そんなことを思ってはいても、心は嘘をつけない。
この人とまだ一緒に居たい。
西島隆弘のことをもっと知りたい。
なんて思ってる自分がいたんだ。
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