嵐が来る

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私は大きく風を吸い込んだ。湿気を含んだ重たい風は生ぬるく、少しむせた。 「里華?」 篤志が1歩、私に近づく。 好きだ、という感情のもっと先の「愛してる」という気持ちを、私はずっと知りたいと思っていた。 そう、ずっと知りたかった。 この人が教えてくれた「愛してる」にまとわりついてくるたくさんの感情は、私の胸の中の振り子をゆらゆらと揺らして、それはもう止まることを忘れている。
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