嵐が来る

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生暖かい風はますます強くなってきて、目の前を白いポリ袋がひとつ、飛ばされていった。 それを追いかける視界がぶわり、とぼやけて、私は息を吐いて涙をふり落とした。 里華!と名前を呼ばれたような気がした。でも私は振り返らない。 ぴかり、と白い光が走る。 足を止めない私の、今度はずっと近いところで、どおおん、と雷が鳴った。
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