嵐が来る

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「私があなたの自宅の電話番号なんて、知るわけないでしょう」 「うん、そうだよね。……わかってる」 わかってないくせに、と心の奥でつぶやく。 何もわかっていない。私のつらさも、苦しみも、悲しみも。 そしてそれでも捨てきれない、あなたへの気持ちも。 唇から零れる私の言葉は、巧妙に強気をまとっている。 「私、結婚してほしいなんて、言ったことないよね」 「うん。言われたこと……ない」
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