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「里華、待って」
それでも止まることなく、私は歩き続ける。
急ぎ足で駆け上がった、大きな歩道橋の真ん中あたりで、腕を掴まれた。
「待てってば」
その辺りには丸く大きな花壇があって、赤や黄色の花たちが、ゆらゆらと大きく風に揺れはじめていた。
ざわざわと風が強くなって、私の髪が揺れる。
あなたのために伸ばして、あなたのために巻いた髪だ。
でももうあなたの手が、優しく撫でることを忘れた、私の長い髪。
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