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「やってもいいよ。役に立てるか、よくわからないけど」
孝弘の言葉に、彼はほっとしたように大きく息をついた。
「よかった。君に引き受けてもらえなかったら、この王府井の大通りで中国語話せる人いませんかーって叫ばなきゃいけないかと思ったよ」
さわやかに笑ってそんな冗談をいう。
王子さまのように優しげな見た目より実際にはしたたかで、そのギャップで得するタイプだ。それをたぶん、自覚もしている。
こういうタイプは侮れないな。でも興味をひかれた。
「じゃあ、先にすこし打ち合わせしようか。どこか入れる店を知ってるかな? ところで、君、名前はなに?」
「上野孝弘」
祐樹を連れて人ごみを抜けながら、面白いことになったと孝弘はわくわくしてくるのを感じていた。
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