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では蘇進ならば、いかにするのであろうか。
刑部の書庫に忍び込むという重罪を、治部の何人かが認めているという時点で、仔細は判じずとも政治的な大きなことが絡んでいることくらい察せられる。
蘇進ならば、どちらを取るのであろうか。
都季は、否と心のなかで首を振った。
部下に任せず自ら動くことを決めた瞬間から、重罪という言葉を胸に深く刻んでいる筈である。
都季とて誰かに任せず自分が侵入すると決めたのは、妙児のことを存ぜぬ者に任せたところで、自らが危険と判断すれば、記録簿を探すことを途中で諦めて戻ってくるのではないか、と思われたからである。
『試みたが無理であった』という、まことに努力したのかどうかさえ判じられぬ結果を持ち帰ってこられるならば、自ら動いたほうがよいと思った。
「行くぞ」
蘇進が押し殺した声を発した。
虫の声が透き通って聞こえてくる静かな宵である。
口を開くのはここまでだと言われた気がして都季が頷くと、蘇進は壁伝いに書庫正面へと近づいた。
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