第1章

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残った泡が小さく動き滑らかな底に落ちる。 空になったジョッキを似合わない赤い爪で弾いた。 金平糖のかけた音と揺れるような酔いを覚える。 別れられることさえできぬ猿渡が言った 白いシーツの中の「妻に似ている」がよぎった。 頬に流れるものと同時に鼻につんとした痛みを感じ、 金平糖のかけた音がした。
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