石碑の言葉

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石碑の言葉

『以前、このカルム島は海に浮かぶ宝の島だった 穏やかな気候に豊かな土地に実る作物、海で生きる魚達 雄大な海に守られ、何処の国にも属していない楽園だった しかし、それ故に海賊に幾度と虐げられ続けてきた 実りを奪われ、人々は傷つき、 どれほどの血が流れ、命が消えていったのか それでも我らは彼らに屈しなかった そんな我らに守護者は現れた 島で生まれ育ったハーフエルフと 彼女を師と仰ぐ一人のエルフ ハーフエルフは島に守りの仕組みを エルフは島に守りの力を それぞれ与えた 彼女達の働きにより、平穏は訪れた 師が亡き後もエルフはこの地にとどまり続けた 師が残した研究を、自身の研究を続けるために 彼女は我らを前にして誓った 師の愛したこの地を、我らを 力の及ぶ限り永遠に、と エルフの庇護下に住まう我らは 感謝の気持ちを込めて彼女の全てを受け入れた 彼女は我らに新たな知識を授けた その知識を求め、他の土地から幾人ものの人が島を訪れた そんな姿を見た我らは彼女のために、彼らのために 学びの場をこの島に作ることにした そのあらましを始まりの地たるここに記す』 ~リベルール学院の片隅にある古い石碑より~
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