背中だけ

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佐久間は、そんな遥をまじまじ観察しながら、コーヒーを口にした。 遥自身が目立つ事を嫌うので、別段目立つタイプではないが、一度目につくと目が離せなくなるタイプだ。 遥の何がそうさせるのか。 綺麗に整った顔か、必死に隠そうとする表情か、それとも顔に似合わない口の悪さか。 何にせよ、深入りし過ぎて捕まらないように気を付けないと。 「…瀬能、それ、全部食うの?」 佐久間があれこれ考えている間に、遥がようやく席についた。 皿にはケーキが5個、所狭しと並んでいる。 「そうだけど。」 「胸やけしそう。あ、そういや今更なんだけど、瀬能今日は部活休みなの?もしかして、サボった?」 「休みだよ。」 美味しそうにケーキを頬張る遥を見て、佐久間が笑った。 ご機嫌だな。
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