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「瀬能、鼻で息しないと。そうすれば、もっと気持ちいいから。」
そう教えながら、息の上がった遥の髪を撫でる。
「苦しそうにしてるのも、そそるけど。」
「…そそる…。」
…ってなんだ?
酸欠でクラクラしながら、佐久間の言葉を反芻する。
「欲情する、って言ってんの。」
欲情、という生々しい言葉に、遥が首まで赤くなった。
「ふーん。青くならないで、赤くなるんだ。」
上々の反応に、佐久間が満足げに笑う。
「じゃあ、もう一回。」
「ちょっ……んっ!」
言うが早く、佐久間が遥の口を塞ぐ。
押し退けとする手を掴んで、ベッドに押し付ける。
先程よりもゆっくりと舌を絡ませ、口中を愛撫してやる。
佐久間が与えてくる快感が強すぎて、呼吸にまで気が回らない。
「…んぅっ…。」
溺れるように、喘ぐ。
苦しげに眉根を寄せる遥に、少しだけ唇を離してやる。
「はぁっ…、はぁ、」
「瀬能、息して。」
「…も…、離せっ…」
涙目で訴えるが、佐久間は聞く耳を持つどころか、唇が触れそうな距離まで顔を寄せてくる。
「だめ。ちゃんと息しないと、苦しいままだよ?」
言葉の後半は、ほとんど二人の唇が触れていて、言葉を返す隙さえない。
押さえ付けていた手を解いて、佐久間が遥の手に指を絡めてくる。
触れたままの唇が、また深く遥を求めてくる。
蕩けるような感覚に、頭の芯が痺れて、何も考えられなくなる。
触れた唇や絡めた手から、佐久間の焦燥のようなものが伝わってきて、もう、息が苦しいのか、胸が苦しいのかも分からない。
絡めた手をギュッと握ると、佐久間がようやく唇を離した。
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