背中だけ

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低い声で睨み返すと、佐久間は怯んだ様子もなく、良かった、と笑う。 「バカみたいにパシャパシャ撮ったりしないから、安心してよ。」 「当たり前だ。」 「ところでさ、瀬能はいつまでここにいるの?高野が終わるまで?」 「うん。」 「一緒に帰らなきゃいけない理由とかあんの?」 「…別にないけど。」 「じゃあさ、明日から俺と帰ってくんない?」 「はぁ?嫌だ。」 何言ってんだ。こいつ。 「何で?」 不思議そうに尋ねられて、逆に狼狽えてしまう。 「な、何でって…。こっちの台詞なんだけど。何で佐久間と帰んなきゃなんないの?」 「あぁ、もっと瀬能と話とかしたいから。」 「話?…って、なんの?」 佐久間が何を求めているのかが、全く分からず、遥は混乱した。
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